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ジャズピアニスト荻原健登のブログ

満月と木星とアパート

2023年10月29日、ハロウィン前最後の日曜日
だったことに気が付いたのは1日のレッスン仕事を終え、帰りの電車でスマホでSNSを見たとき
ガーデンプレイスでも子どもたちがたくさんいるのを見たし、乗り換えの渋谷でも多少は人が多かった
そう言えばその前にいた下北沢のロータリーでもハロウィンのためのメイクをする呼び込みがたくさんいて、「傷メイク、て何だ?」て思ったんだった
そうか、傷メイクか
今思えばハロウィンらしいな
去年のソウルでの雑踏事故が決定的だったか、それでも人通りは例年に比べると少なかったような気がするし、いつものようなハロウィンをしてストレスのはけ口にしようとするような昂りは街からは感じられなかった
SNSの友人の投稿などを見ていても、今日のハロウィンは子どもたちがメインの平和なものが多いような
もちろんわからないけれど、今頃のスクランブル交差点はもっと違った雰囲気になっているのかも知れないし、まあ、怪我人やましてや死者が出ないことを祈る

最寄りの駅の自転車置場で月が目の前を煌々と光っているのを見る
丸くて、満月かな、と思う
去年だったか、一昨年だったか、ミュージシャン友達と一緒に中秋の名月を見たことを思い出す
時間は積み重なっているな
更にSNS投稿で今晩の月が満月であること、隣りの明るい星が木星であることを知る
珍しい天体ショーなのだろう、と思う
アパートに帰り網戸越しに満月と木星の写真を撮る
しゃれたことを言いたいけれど何も思いつかなかった

何かを言いたくてノートパソコンを開く
言葉を発せれるのは幸せなことだ
それでたぶんポジティヴなことなのだと、今日は思う
今日という日を記録すること、語ること、何かについて意見を述べること、人にメッセージを送ること、自分について話すことも

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テレビはあんまり観ない
最近ではパレスチナのことを見るのが辛過ぎる
いつからか、ここ数年で突然凶暴になった世界
多様性・融和・異文化交流・共存・対話・コンプロマイズ・平和
それが私の知っている世界の姿、あるいは私を取り囲む時代の空気だった
もちろん現在でも今年の8月15日の広島での平和祈念式典で広島市長・松井一實さんや広島県知事・湯崎英彦さんの演説を聴いて、しなやかな平和を希求する真の知性が今でもいるのだ、と思ったりもしたが、私はつい取り囲む圧倒的な暴力と思考停止の前に力を失うことが多い
コロナによる隔離は人々の移動を阻み、人々はこの数年でより内向きになった
日本人はもともと自分と異なる人間と話をするのが不得手だが、その傾向が更に顕著になった
私はどこを自分の拠り所にするのか
それは「日本人」ではない
私はもう一度、
多様性・融和・異文化交流・共存・対話・コンプロマイズそして平和を拠り所にするのだと思う
それはどこでの話か
日本だけではない
この世界
地球上に生きる全ての人々
このブログでは紹介したことのないジミ・ヘンドリクスの言葉
「愛国心を持つのなら地球に持て
 魂を国家に管理されるな」

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今宵は満月と木星がキレイですよ
同じ月を見ていますか?
地球のあちらこちらにいる友人の皆さん
私は今日はご馳走で家族ですき焼きを食べました
東京のボロアパートから
私も月を見ています




# by kento_ogiwara | 2023-10-29 22:01 | どーでもいーこと | Comments(0)

I read the news today, oh boy.

レッスンに行った下北沢でまちピアノを弾いていた。
下北沢のまちピアノは音もタッチも好みで、このピアノならいつもは胃をキリキリさせながら弾いているドビュッシーの“夢”も、ゆったり余裕を持って、弾く、と言うより、奏でる心持ちで弾ける。だから下北沢に行く日でまちピアノが弾ける晴れの日は、このピアノを弾くのを楽しみにしている。
スタンダードを弾き終えると、大きな拍手を頂いた。何人かの人がピアノの前のベンチに座っていて、見ると立って聴いてくれている人もいた。
皆さんの笑顔が嬉しい。

スタンダードや、ドビュッシーの“夢”を更に弾いていると、弾きたそうにしているカップルが来たので席を譲った。
ずっと聴いてくれていた80歳を超えると言う男性と話をしていたが、彼は1曲弾き終わった時点で、
“ビル・エヴァンスがお好きですか?”
と私の好みを言い当ててくれていた。
私は持っているCDコレクションの中でもビル・エヴァンスが最も枚数が多いし、仕事をしながらBGMでかけているのもビル・エヴァンスだ。
いちばん好きなピアニスト、それがビル・エヴァンス。最近とみにそうなった。
プライヴェートでのダメさ加減とかも好きな要因かも知れない笑
クスリをやっていたのは別に好きじゃないけど。
ともかく彼もジャズドラマーらしく、共通の知人・ミュージシャンの話で花が咲く。
世間は狭い。
いろいろ話したが、過分とも言えるような賛辞を頂いた。
“ビル・エヴァンスが好き、という気持ちが伝わってくる。”
“ビル・エヴァンスをここまで感じさせる人はなかなかいない。”
“柔らかい。”
“柔らかくてもふにゃふにゃだと駄目だが、芯がある。”
など、私が普段から意図して練習している部分のことを言ってくれる。
炎上するかも知れないが、ご老人はビル・エヴァンスがいちばん好きで、キース・ジャレットよりも好きだ、と言っていた。
比較の問題ではないのかも知れないが、私もキースよりビル・エヴァンスの方が好きで、つまり無人島に持って行くならビル・エヴァンスなのだ。
思い入れ、と言えばそれまで、、なのか?
ともかくその点においてもご老人と激しく一致してしまった。
そんな下北沢でのまちピアノでの一コマ。

場所を私の職場であるノア下北沢のスタジオに移して。
生徒が、
“買っちゃいました!”
と笑いながらピカピカの本を出す。表紙はビル・エヴァンス。本はビル・エヴァンスの有名な録音を採譜した楽譜だった。
“運命の扉を開けちゃいましたか!”
と笑う私。
生徒が弾いてきたのはずばり、“My Foolish Heart”と“Waltz For Debby”、名盤“Waltz For Debby”の1曲目と2曲目。
特に私からそんな本、買ってみては、とか言ってないのだが・・
楽しくレッスンする。

更に恵比寿に移動してノア恵比寿でややご無沙汰の生徒とレッスン。
改めてやりたいことを聴いていたら、ジャズなのだ、
“ビル・エヴァンスみたいに。”
と。
思わず笑う。
本日3人目。
全くの偶然。
強いて言えば類は友を呼ぶ。
ピアノ初心者の彼に少しでもビル・エヴァンスみたいな気分を味わってもらおうと、1曲ビル・エヴァンスがよく弾いていたスタンダードを紹介する。
必死で食らいつく彼。
下北沢の生徒にも、恵比寿の生徒にも、レッスンの記録の最後に、
“頑張れ!”
と書く。
相手はビル・エヴァンスだ。
とてつもなく高く、道程は遠いぞ。
だからマイペースで行こう。

ビル・エヴァンスを巡って今日一日で4人の人間が激しく交差する。
レッスンの仕事は人の人生を左右する仕事だし、人の人生に深く関わり、影響を与えるものだと思う。
と言うか、音楽というものが、すべからく人たちのつながりの中にあるもの、出会いの為せるものだと思う。
今日みたいな日はそんなことをまた思い起こさせる。
音楽、そしてピアノというものに出会った私の業が、時にこんなふうに報いてくれたのかな、とか。
楽しい1日だった。

渦中のビル・エヴァンスさん。↓

A Day When I Heard 3 People Say “Bill Evans”_f0153932_23045442.jpg






# by kento_ogiwara | 2023-10-14 23:17 | 音楽のこと | Comments(0)

Holiday

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# by kento_ogiwara | 2023-10-05 22:33 | etc. | Comments(0)

ライヴのお知らせ

夏が終わった
いつ終わるとも知れなかった夏がようやく終わってくれた
季節が変わるのと同じくして、私の周りでは大きな変化が相次いだ
はじめはそれは気のせいで、私がおかしくなったのではないか、一旦立ち止まって考えていた
でもそうでもないみたいで、実際に、私を取り巻く人たちの間で大きな変化が生じ、それに伴って私の人生も次のステージに静かに入ったのだということに気が付いた
私はというと特に変わっていない
状況が変化していく中で、自分はどう立ち振る舞えばいいのか、言葉を探してみた
尊敬する医師でアフガニスタンで凶弾に斃れた中村哲医師の、
理念や信念の問題ではありません 
目前で展開する事態に対し、いかに人間らしくかかわるかの問題であります
の言葉も思い付いた
ただ今はやっぱり違うな、と思う
哲さんの言葉が違う、という意味ではなく、今の私には考える力がなさ過ぎて、自分の行動原理に言葉を据えられる程、私は賢くない、と思う
私はただ日々を生活しているだけで、ピアノを練習すること、友人たちと話すこと、老人ホームの厨房で過ごすこと、生徒たちとジャズ・ピアノについて話すこと、家族と過ごすこと、それだけで日々は過ぎていく
ただ、その生活さえテンポラリーなもので、少しずつではあるかも知れないけれど変わっていくものなのだな、と思う今日この頃
私はその中で、私自身を保とうと、もっと前向きに言えば、私らしくあろうと、必死で格闘するのだと思う

季節の変わり目にライヴをやります
私としては少しオーバーペースかな、と思うし、疲労感も感じるところではありますが
ただしばらく前に始めた準備の段階から、様々な幸運に恵まれ、音楽が充実して来ている気がしています
多少疲れている時の方がいい演奏をする、と言うし、音楽にどっぷり漬かれているような気がして幸せでもあります
今回はいつか一緒にやろうと話していたアルトサックスのLaetitia Yamadaさんと4曲、2曲はピアノ・トリオでお届けします
初共演のベース高橋亨さん、ドラムスはいつもの峯麻衣子ちゃん、千歳烏山アトリエ・ベラーノの対バン形式のライヴで、私たちの出番は17:50~1時間程です
他のバンドも見応え充分なので、10月9日(スポーツの日)は是非ベラーノへお越し下さい
詳しくはフライヤーをご覧になって下さい

皆さんにお会い出来るのを楽しみにしています

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# by kento_ogiwara | 2023-09-25 22:35 | 音楽のこと | Comments(0)

8月29日にアトリエ・ベラーノで開催した単独ライヴから、一部をYouTube動画にアップロードしました。
ぜひご覧になって下さいね。

改めて自分はたくさんの人に支えられているんだな、と再確認するとともに、私に関わってくれた全ての人に感謝を伝えたい気持ちです。
ライヴは本番でいちばんいい演奏が出来たな、と思うし、最高のメンバー、最高のお客様、そしてライヴを持ち掛けるだけでなく、サックスで参加もしてくれたベラーノのマスターに囲まれて、本当に楽しい、幸せな時間を過ごさせて頂きました。
動画にはその一旦が垣間見えるかもです。
また当日残念ながら来れなかった方でも興味を持って下さり、有り難うございます。
YouTubeで少しでも楽しんで頂けたら、と思います。

レヴューでも最初に書きましたが、不思議と、ここから始まるような気持ちです。

最後に繰り返しになりますが、親愛なる皆さまへ、
ありがとう。


KENTO



# by kento_ogiwara | 2023-09-09 21:17 | 音楽のこと | Comments(0)