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ジャズピアニスト荻原健登のブログ

東京都の鉄道の駅のバリアフリー情報を一括網羅したような冊子、本について

ここ最近、東京都内の交通のバリアフリー情報について調べていました。
母親から、友人で車いすの旦那さんを介護している方の話や、最近腰を骨折した友人がリハビリを始めていて差し当たっては車いす生活になることを聴いて、なにかできないかな、と思い。
いろいろ書いていたら長い文章になってしまいましたが、もしよかったら見てみてください。

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そもそもの発端は勤め先で『東京観光バリアフリー情報ガイド』というパンフレットを見つけて気になり取り寄せてみたことです。
始めに書いたように母親の友人に車いす生活の方がチラホラいて、彼らに気軽に車いすで都内を観光して欲しい、と思っていました。とりあえず4部ほど、発行している東京都産業労働局観光部振興課に問い合わせて取り寄せました。
家で取り寄せたものを改めて見てみると、この『東京観光バリアフリー情報ガイド』、観光先の名所などのバリアフリー情報は載っているものの、そこに辿り着くまでの肝心の足の部分が全く載っていなく、これではなあ、という感じでした。パンフレットのタイトルからして当たり前だったのですが。
いろいろ障害者福祉に携わる人たちと話していて、欲しいのは足の部分、バスとタクシーはもう100パーセント大丈夫、あとは鉄道、ということになりました。バスは普段自分も乗るから状況はわかっていたし、タクシーについても2020年のオリンピック、パラリンピックに向け、車いすがそのまま乗り込めるワゴン式のものに完全に移行する、ということを前に乗ったタクシーの運転手に聴いたし、ニュースでも見ていました。
タクシーは高いですが。


その中で、ある人が前に丸ノ内線で東京メトロ(旧営団)のバリアフリー冊子を見たことがあるようなことを話してくれて、問い合わせることにしました。
そこで再び東京都産業労働局観光部振興課(03-5320-4768)に問い合わせて、そのまま伝え、東京の鉄道の駅、乗り換えのバリアフリー情報を一括したような本はないか、と訊くと、東京メトロ、都営地下鉄の駅ごとのバリアフリー情報が冊子になっていることを教えてくれ、問い合わせ先として、東京交通局、その窓口の都営交通お客様センターの番号を教えてくれました。
私が、JRや私鉄はないのか、と訊くと、残念ながらなく、鉄道会社が違い、その関係もあってなかなか難しいこと、さらに鉄道他社間の、「乗り換え」についても載っていない、皆さんそこはグーグルで調べている、という実情をざっくばらんに話してくれました。
それから東京交通局に電話をしてとりあえず東京メトロと都営地下鉄のバリアフリー情報冊子を取り寄せようと思いました。
電話に出た男性曰く、『バリアフリーガイド』と『バリアフリー便利帳』という冊子があり、どちらも都営地下鉄と「東京メトロさん」の両方の駅についての情報が載っている。手に入れ方としては、都営地下鉄の駅で「在庫があればおいている」。ただどの駅が都営かについて管轄がいろいろあるらしく、「例えば都営三田線が止まる目黒は東急さんの管轄で私たちの管轄ではない」「都営浅草線が止まる押上は~云々」これが延々と。
そういう状況ではあったのですが一応JRと私鉄は扱っているか訊いてみましたが、やはりもちろん取り扱っていない、「わかりかねる」とのこと。久しぶりにそういう人を見たような気がしたし、人それぞれだな、と。
そんなこんなで当初の目的だったバリアフリー情報冊子を取り寄せることも言い出せず、電話を切りました。


たまたまこの日、神楽坂で用事があったので、東京メトロ神楽坂駅で駅員にさっそくこの2冊のパンフレットのことを訊いてみたら、わかってくれて、素通りしていた改札近くのいろいろな冊子やパンフレットが置いてある棚から『バリアフリー便利帳』をくれました。もう一冊の『バリアフリーガイド』についても訊いてみたのですがわからないとのこと。しかし快く応じてくれたのもあり、自分用と、相談に乗ってくれた勤め先の人たちのためにも見せようと思って2部もらいました。
その後JR吉祥寺で同様のものを駅員に申し出たら貰えました。
JR東日本が出している『駅バリアフリー設備のご案内』。
東京や首都圏のJRの駅が網羅されています。
気になったのは、窓口で申し出たときのことなのですが、私の要求を聞くと駅員さんは、ちょっとそちらで待っていてください、と言って、いったん窓の蛇腹を下げ事務所の中を見えなくしてから、しばらく、ようやく蛇腹が開いて、
「この一部だけしかないですが。」
ということいただきました。一応何冊か多くもらえるか訊いたら「ダメ、これしかない、」と言っていて、あまりこのガイドのことをおおっぴらにして欲しくない感じにも見えました。本当に必要な人にしか配ってないのかも知れないのと、JRも民間で厳しいだろうし、あまり金をかけられないのかも知れないのかな、と思いました。
若い男性の駅員さんで、駅のバリアフリー状況は日々アップデートされていて、これは2017年4月1日のものでこれが最新版だと教えてくれました。
その足で京王線吉祥寺駅の窓口に行きました。
私の家の最寄りは仙川ないしつつじヶ丘だし、JRとともに京王線もあったらひとまず近場はおさえられる、と思い。
駅員に、「京王電鉄各駅のバリアフリーガイドの冊子が欲しい、」と言ったら、
インターネットで各駅についてのバリアフリー情報が載っている、必要な駅を言ってくれたらプリントアウトしますよ、と言ってくれ、私が、冊子の形のものはないか訊くと、それはない、とのことでした。
若い女性の駅員が対応してくれたのですが、対応は親切、他の年配の男性の駅員も関心を持ってくれていました。窓口の前には「筆談に応じます。」の張り紙もあったし、頑張っている様子でした。しかしできれば冊子が欲しかったので、少し残念。

私が冊子、書籍の形にこだわるのは、どんなにWEB上に情報があり、いろいろな有益なものがあっても、私の知る限りではスマホもパソコンも持っていない高齢者が絶対的に多数存在することです。障害者もそういうケースはあることと思います。
彼らに手軽に移動のための情報を一冊にまとまった冊子でもあれば、活動範囲は広がる。行楽にも行ける。どこにでも、好きなところへ、手軽に。安心して。それが欲しいです。
勤め先で話していて、冊子のもの、書籍はないのか、ないのなら作っちゃおうかな、と言っていたら、みんな、「カッコイイ、」、「売れるかも、」、とかは言ったものの、あまり出版までやる妥当性が見出せない様子で、情報も集めたらキリがないし、当事者たちは今ある社会資源を自分たちなりに繋ぎ合わせて移動している現状がある、ということでした。
みんな言っていることは、都内全域は難しいが各自治体、団体、法人、ボランティアなどがバリアフリー冊子を独自に出していることも多く、それを活用して、乗り換え、 については東京観光振興課の職員の方も言っていた通り、みんなGoogleなどで調べて移動しているのが実状で、それはある意味現実的でリーズナブルな状況かも知れない。
私が、「都社協とかやってくれないかな、」と言っても、やらないだろうな、という感じで、私がまた若干、都や国がやらないで当事者のエネルギーに依存するのはいかがなものか、という不毛なことを言い始めてしまったので、まあまあ、といさめられました。
行政を動かすことの大変さもみんな感じているようで。
しかし、繰り返しになりますが、これからはITの時代かも知れないが、必ず、そこからはみ出る人が出てくる、と言うか、すでにそういう人で困っている人が母や母の友人たちを始め多数いる、そこに必要性を感じます。

民間の動きをごくごく簡単にさらっておきます。

妻が東日本大震災の時に味の素スタジアムで避難民の共同生活の場でボランティアをやっていたのですが、当然、医療的、福祉的配慮の必要な避難民も多くいたので、IT関係に強いボランティア・メンバーたちがAED設置場所などの必要情報を集めて常時編集状態にして、リンクを共有していたそうです。
そこで妻が出会った調布のある方は完全なボランティアなのですが、4000人近い当事者含む会員とFACEBOOKで繋がっており、調布界隈の各駅や地域のAED情報を、わかりやすい写真つきでアップしているそうです。みな、いざという時は視覚で得る情報でAEDの設置場所を把握していることが多いからです。
これです。
https://jauntful.com/ruwata_mori/xyPCjbnwUl

さらに調布ではこういうAED設置と普及のための啓蒙運動としてこういうものも行われているそうです。
https://dot.asahi.com/dot/2015032300080.html?page=1


他にもいくつかリンクを貼ります。


『らくらくおでかけネット』
http://www.ecomo-rakuraku.jp/rakuraku/index/
これは東京のみならず、全国の鉄道、バス、飛行機、旅客船まで網羅しており、経路も検索できてなおかつシンプルでわかりやすくていいと思います。もしかしたらこのサイトを使っている人が多いのではないかと思われます。車いすの人、階段がきつい人、ベビーカーを使う家庭の人など、エレベーターだけではなく、トイレも車いすユーザー、オストメイト、ベビーベッドの情報も載っています。


『Freedom Train』
http://www7.plala.or.jp/biz/ft/index.html
このリンク集は身体障害者、車いすユーザーの移動についてはもちろん、例えば障害者採用・就職支援や福祉器具についてまで、広きに渡っていろいろ載っています。
全国区です。もちろん例えば東京をクリックすれば東京のページになるし、みな自分のいる場所、行く場所について検索できます。
当事者のブログなどもあり、生の声や、ざっくばらんな情報にも触れられるかもしれないです。


参考程度にリンクを貼りましたが、このようにみな独自にWEB上でバリアフリー情報をアップしたり、リンクをシェアしたり、いろいろなところから発信しています。しかし、これだけさらった印象だけでもひとことで言ってまず量が膨大。情報の質も、まさに玉石混淆になりうるのがインターネットとも思います。一人一人にとって本当に必要な情報を得るためには大量にある情報からまず自分にあったものを選ばなければならなくて、探すのがまず一苦労。
オンラインで生活している人でも、これはそれなりに大変な作業。ましてやスマホもパソコンもない人にとっては縁遠い。


当事者たちのバリアフリー情報の収集の状況例としては、調布市国領在住の車いすユーザーの友人はもしかしたらこの多摩地域のバリアフリー状況について最も詳しい人の一人かも知れないです。もともとこの辺りの市民ゴスペルサークルで私が少し伴奏をやっていた時に会った方なのですが、ビートルズや特にジョージ・ハリソンが好きで一緒に彼の“My Sweet Lord”をやったりもしました。パラリンピック種目でもあるボッチャが好きで国立にある障害者スポーツセンターでばったり会ったこともあります。そんな感じでよく外出する人だし、その都度自分で行く場所のバリアフリー情報を調べていたと思います。
前に障害者の当事者団体であるCILが調布支部のCILちょうふを立ち上げる時、その集まりと飲み会に参加したのですが、彼はその時のコアメンバーでもあります。
CILちょうふのリンクを貼っておきます。
http://cil-chofu.com/

言えることは国領のその友人のように実際に現地に行かないと、体験しないと活きた情報は得られないし、効果的な発信の仕方もできないと思います。当事者は当然誰よりもバリアフリー情報について詳しく、体験的に場所ごとのバリアフリー情報を把握しており、情報の質も高く、量も多いです。
私がそもそもこのことを考えるようになったのも、膝が悪く、基本的に階段が無理な母が、新幹線線に乗るときに、
「品川駅はエレベーターがないから東京駅から乗る。」
と言っていたのが引っ掛かっていて、母にバリアフリー情報の冊子があるなら渡したかったのが発端だったのですが、母は母なりに自分の膝に見合った移動の方法を体験的に蓄積しているのだろうなとも思います。
また妻も例えば分倍河原駅は段差については一応全てエレベーターがあるが、駅の作りが多重構造になっていて、彼女が腰が痛くて階段が無理でエレベーターを使っていたときは、分倍河原はエレベーターがあってもしんどい駅だった、と聴きました。
求められるのはそういう活きた情報、そういう活きた情報を集めることが重要だと思うし、それが紙媒体で一括して盛り込めればそれは最高の理想だな、と思います。


こういう状況で国や自治体、社協などに一括した都内の鉄道のバリアフリーハンドブックを作って欲しいところだったのですが、行政を、国や自治体を動かすのは大変だし、それをやっているより、民間やボランティア、当事者たちがこれまで挙げたようにすでに色々工夫して発信しているので、それを活用したり、Web上のものはプリントアウトすればよいのが妥当というのもわかります。書籍を作っても、情報は日々アップデートされているし、アップデートされた情報じゃないと意味がない。また確かにそもそも書籍にするには情報量が膨大過ぎてキリがない、というのも真実でしょう。障害の類いも、必要とされる資源も、対象を広げれば無限にあるし、全てをやるのは誰にも無理かも知れないし、私に至っては全く無理です。
しかし一方で2年後には東京ではオリンピック・パラリンピックもあるし、今は行政も動きやすい時かも知れず、チャンスではあるかも知れない。特に今の首相はそういう派手な話が好きそうだし、彼らのキャンペーンと、当事者たちのニーズが噛み合えば案外Win-Winの結果がもたらせるのではないか、とまた色気が出てきてしまうのですが。
東日本大震災の時に石巻、女川でのボランティア活動で出会い、今も東京で大活躍をしているボランティアの先輩が、
「動ける人が動くのがいい時だと思った。」
と言っていて、それを考えるとうちは子供もいないし、姉は3人の子供を働きながら育てていて忙しい。私には比較的時間がある。障害者福祉の担い手たちもみな個別の現場の仕事で忙しく、なかなかそこまでできる状況にないことと思う。そんなことを考えるとまた書籍を作りたい、と思ってしまうのだが。
またコイツ、金にならんことを思いつきたるか、と怒られそうだったのですが妻にもおそるおそる、かくかくしかじかの本を作りたい、いや、わかってる、今のオレはとっ散らかってるし、ピアノの方でも逃したくない話ももらってるしね、やらないよ、と言うと、意外にも、「やればいいんじゃない?」とのこと。私が責任を持つのなら彼女のパイプも紹介するよ、とまで言ってくれました。
…。


しかし、いずれにせよこれはかなりデカい仕事。
書籍にはこだわりたいところですがそれはそれとして、まずWEB上で、コンテンツの部分を可能な時に、空いている時間で集めて整理して、万が一内容が充実した時と場合に初めて書籍の出版を考えてみたら、という程度でいいと思います。
あまり話を広げ過ぎるとボケる。まずは目の前のことから活きた情報、活きた言葉で集めて編んでみたいです。とりあえず母や母の友人たち向けにWEBからプリントアウトして簡単な冊子を作ってみることから始めようかと思っています。私事ながら今年の年末年始は妻の実家の広島に少し長めに帰省する予定で、時間が若干あるかも知れないので、その時にでもやってみようかな、と。

こういうことを考えている人はもの凄く多いはず、というか、すでにWEB上でもそういう人がたくさんいるのを見ます。
友人のみなさんからもし情報、ご意見、ご教示くださったら、大変ありがたいです。


参考までに、

『東京観光バリアフリー情報ガイド』(東京都産業労働局振興課/03-5320-4768)
取り寄せ可能。
『バリアフリー便利帳』(東京交通局)
都営地下鉄、東京メトロの各駅の窓口にて入手可能。
『駅バリアフリー設備のご案内』(JR東日本)
JR線の各駅の窓口にて入手可能。



最後まで読んでくれて有り難うございます。




by kento_ogiwara | 2018-12-02 17:03 | 大切なこと | Comments(0)