<   2008年 09月 ( 2 )   > この月の画像一覧

マンハッタンで泣いてこい

とはかつて大学のジャズ研の先輩が言っていたセリフですが。
マンハッタンとは阿佐ヶ谷にあるジャム・セッション小屋で、その先輩曰く、プロが営業の後遊びに来る店で滅茶苦茶巧い、そこに行って(ヘタクソなオマエは)泣いてこい、という主旨なのですが・・・。

泣いてきました。

正確に言うとマンハッタンはそんなコワイ店ではなくて今までにも5,6回遊びに行ってジャム・セッションを楽しんでいるオギワラくんなのですが・・・

昨日は違った。いつものように元師匠であるモトオカさんに会いにいきがてらマンハッタンに半年振り位に行ったオギワラくん、撃沈しました。

ピアノの椅子に座っていることがあんなに苦痛だったのは初めてかもしれない。
最後まで自分の居場所を見つけられず、心ここにあらずで終わった。
最近よく共演してくれる友人の素晴らしいテナー奏者であるいとーさんは前に一緒に飲んだときに、ここまできたら、あとはいかに(あらゆる状況においても)自分の色を出せるか、が重要なのであって、例えばマッコイ・タイナーみたいなモードの弾き方ができるできないなどは問題ではない、と言っていたが、それはまさにその通りで、結局昨夜は自分の色、自分の演奏が全くできずに終わってしまった。そういった意味でいとーさんの言っていたことを痛感した夜でもあった。

1曲目は素晴らしいギタリストであるタナカさんの選曲で“East of the sun, West of the moon”。人と一緒に弾くのは初めてだったので譜面を借りて見ながらやる。自分の知ってるこの曲と、譜面のコード進行が微妙に違って、「うーん、なんか違うなあ、これでいいのかなあ、」とか思って動揺している間にタナカさんのギター・ソロが終わってずっと中途半端なバッキングをしてしまってタナカさんにとてつもなく申し訳ない思いでいっぱいになったまま自分のソロ。むろん何を弾いたのかは覚えていない。とどのつまり何も弾いてなんかいなかったのだろう。

2曲目はラッパの方の選曲で“Joy Spring”。これも人と一緒に弾くのは初めてだったが、よく知ってる曲だし、2曲目だし少しは硬さがとれた、と思いきや、・・・弾けない。というか転調がめまぐるしくて、気が・・・抜けない。曲を壊さないで成立させるのだけで精一杯。自分が自由に歌うなんてムリ。終わってモトオカさんに「はあ、鍛えられますわ。」と愚痴る。

3曲目はオギワラくんの選曲でモンクの“Ruby, My Dear”。バップやハードバップはここ1年ほど全くやってなかったのは仕方がないが、モンクだけ、というかモンクばかり弾いていたオギワラくん、コレはいけるハズだった。でも演奏の最中に投げ出して椅子を立ってしまいたい、と思ったのは実はこの曲でであった。どうしてかわからない。トーンに敏感なオギワラくん、イントロを弾くも音の硬さがいやがおうにも気になる。気持ちよさを全く感じることができずにテーマに入り、途中でシフトペダルを踏んだりして対応に追われる。そんな中、ホストバンドのドラムやベースの方が素晴らしい演奏をしてる中、自分だけがブサイクな姿を公開処刑のようにさらしていることにも気がついてしまう。たまらなく不快、心は折れ、気持ちの乗らない指は全く回らずいつもやってるスケールさえ全く弾けず、ミストーンの山を築く。それがまた気を滅入らせるの悪循環。いつかのライヴで最悪の状況に入った時と同じような寒気を感じる。演奏してるのに意識が遠のくようだ。

4曲目は“ornithology”。いつも自分が弾いてるのと微妙に違った譜面上のコード進行に違和感を感じながら弾く。自分のソロは最低。もうどうしたらいいかわからない。何も出てこない。何か弾かなきゃ。そればかりでなけなしのフレーズのストックを無意味にコード進行の中に無理やりひたすら詰め込んでいく。もうこうなると、演奏している、とは言えない。

なんでこうなったのかわからない。
はっきり言えるのは、

天狗の鼻が折れた。

自分がこんなに無残なまでにヘタクソだったとは思わなかった。
分析不能。

まあこんなしょうもないことをわざわざブログにしたのは、それでも久々に自分のピアノのことを客観視することができたからである。
昨日はお客さんがピアノがオギワラくん1人、ギターがタナカさん1人、トランペットが1人いただけであとはホストバンドのプロだけだったから、必然的にプロの世界にひょいと紛れ込んでしまった、という状況で、それは実はマンハッタンに何度も来てるとは言え初めてのことだった。そんな中でようやくプロと自分における明確な格段の違いというものをマザマザと感じさせられることになったのだろう。そういった意味でいい経験になったかな、と思い、屈辱と共にこの現実を書き残しておこう、と思い、ペンをとったわけです。

ま、今はパワーレスですが、そのうちこの方面についても対処していきたいと思います。
その時はオギワラくん、頑張ってね!
[PR]
by kento_ogiwara | 2008-09-21 14:20 | BLOG;音楽について | Comments(0)

埃をはらうような日々

あまりにも色々な事が起こり過ぎて大変なこの頃でしたが、だいぶ落ち着いてきました。

全てやり過ごしてしまう、というのも一つの生き方かも知れませんが、
実際はやり過ごしきれないこともあるし、
特にオギワラくんは、過ごす、ことの幸せもあるけれど、生来の記録癖があって、
たぶん旅先で記録をとるのも、
そして音楽を作り、録音することも、この生まれつきの記録癖によるのだと思う。
なんで記録癖があるのかは掘り下げないことにするけれど、
記録して、カタチにしてしまうことで、
まとわりつく埃をはらっているのだと思う。
そうすることでよりまっさらで身軽なまま新しい日々を迎えることができるから。

最大の埃である5枚目のアルバムは6割がた完成したところ。
40曲以上の曲をこの半年のあまり書いてしまったことから、なかなか難儀していますが、ボチボチ今年度中あたりを目安に完成までこぎつければ、と思います。
時々熱中し過ぎてオギワラくん自身がつぶれてしまうことがあるのでそれには注意しながら。
実際、本アルバムでも最大の目玉となるサックス・カルテットの録音を2日間に渡ってのべ8時間、7曲録る、というハードワークのあと、案の定真っ白になってしまって、仕事にはギリギリ行けたものの、他には何にも手がつかなくなってしまいました。もうこういう危険なことはしない方向で。というか今はそんなことする気力もない。

最近発見してよく聴いてるアルバム

Kate Bush "dreaming"
むかーし買ったんだけど1、2回聴いてからずーっと聴かないできてたけれど、たまたま最近また聴いてみたら良くて聴いてる。
前半は全く聴かないのだけれど6曲目から最後までぶっ通しで聴きます。
一切の既成のフォーマットにとらわれない、彼女の感覚だけを音にしたような信じられないような美しいアルバム。

Metheny/Mehldau
ウェス、ジム・ホール、ジョー・パス、あとケッセルあたり以外の全てジャズ・ギタリストが嫌いで、特にこのメセニーやジョンスコなどは嫌悪しているオギワラくんだが、なんとなく買ってみた。
これも前半は全て飛ばして6曲目から最後までをぶっ通しで聞きます。今流行のジェフ・バラードが聴けたり、仕事してます的なメルドーが案外良かったり、メルドーらしい幾何学的な曲もあったり、と、けっこうイージーに聴けるキャッチーなアルバムです。

Pearl Jam "ten"
リアルタイムで聴いてた。15年前位。CDはどっかにいってしまったけれど何曲かイメージが鮮烈に残ってるのがあってずっと気になってて、この間中古で発見したので即買った。今聴いても全然色褪せてない。すごい感傷だなあ。

後はソニー・スティットに今更ながらびびって何枚も買って聴いてます。全盛期のバド・パウエルに全くひけをとらないバトルっぷり、オスカー・ピーターソン・トリオとの共演はハードバップの頂点の一つと言えそうだし、とにかく圧倒的です、スティット。

ペシャワール会のスタッフが亡くなったときは、口をつぐんで何も言わないようにしていた。この悲劇を世間がどう受け止めるのか、関心があった。
去年パキスタンを訪れた時もそうだったけれど、あの地にいると、何を言うのが“適切”なのかわからなくなる。今も同じだ。
少し時間をおいて思うのは、彼のことを侮蔑する言葉は少なくともオギワラくんの周りからは聞こえてこない、ということ。それは良かったと思う。
そして事実としてパシュトー語を話し、村人との信頼関係も熱く、過酷なかの地で黙々と作業をしていた一人の稀有な人的資源を失った、ということ。
家族のことを考えると複雑な思いに駆られること。

一つ、同僚たちの前で言ったのは、良心が国家や政治の犠牲にならないように願う、ということ。


と、

今回もとりとめもない投稿になってしまいましたが、とりあえず今週末は3連休。
オギワラくんはもう少し、身についた埃をはらうことに専念したいと思います。

みなさま、良い連休をお過ごし下さい。
[PR]
by kento_ogiwara | 2008-09-12 00:35 | BLOG;その他 | Comments(0)