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ジャズピアニスト荻原健登のブログ

now's the time

充実した日々を送っています。
最近始めたFACEBOOKのおかげで海外で活動しているかつてのジャズ研の仲間たちとも連絡がとれるようになり、しかもこの8月、オランダで活躍するアルト・サックスのGenzo Okabeとニューヨークで活躍するフルートのYukariと、立て続けに会うことができました。

先週末は一時帰国するGenzoと前もって連絡して、ジャムセッションをしようと企画、10年以上ぶりに吉祥寺のスタジオで東京組のリズム・セクションと+ギターの4人でGanzoを迎えて演奏することができました。
さすがにアルト一本抱えてもうかれこれ10数年、イタリアから現在のオランダにいたるまで頑張っているGenzoの音はそれはもうダテではないもので、学生時代は私の方が2個上の先輩だったので多少なりとも先輩風吹かせていたこともあったかもしれませんが、もうかないません!Genzo素晴らしい!!!のセッションになりました。そんなことをGenzoに言うと、
Genzo、「そりゃこれだけで10年やってて多少なりともうまくなってなかったらいやでしょ。」
録音もしたのですが、さすがジャズの中でもビバップ、ハードバップが盛んなオランダで活動するGenzoのサックスは、本当にバップの基礎が磐石としてありながらも、さらにフリーキーなこともできる素晴らしくかっこいいリアル・ジャズでした。
アルト特有のキュルキュルした音でもなく、しっかり肉厚な、男らしいトーンも出ていて、音自体も学生時代とは比較にならない位いい音で一緒にやってて心地良かったです。
GenzoとはもちろんGenzoがいない間に日本であった色々な消息話やオランダ・ジャズ・シーンの実状など、色々話すこともできてそれも楽しかったです。スタジオでセッションなのに、久しぶりのうれしさもあってか演奏もしながらも、かなりの時間を談笑で過ごしました。

昨日はニューヨークで活躍するフルートのYukariのピアノとのデュオのセットを観に稲毛のジャズ喫茶、キャンディーさんへ。
実はYukariさん、ジャズ研でもありますが、学部でも同じ大学のドイツ語学科の同期でもありまして、私のカミサンともその頃からの友人だったのです。ジャズ研に入ってきた頃は、とにかくジャズの、何を弾いてもいい、好きなように弾いていい、というのがたまらなくエキサイティングだったらしく、目を輝かせてセッションなどしていたのを覚えていますが、それも10数年前。Yukariさんもクラシックでフルートはやっていたのですが、クラシックをやっている人はざっくり言ってジャズの何を弾いてもいい、好きなように弾いていい、というのに接する時、①困る人②喜ぶ人③困りながらもエキサイティングな気持ちが湧き上がる人、などに分かれる様に思いますが、Yukari嬢はそこんとこいくと最初から②でした。
最近は即興(平たく言えばフリー。その中でも何も決め事なく演奏する完全即興。)にはまっているそうで、昨日のセットリストも(店の要望で)スタンダード3曲、即興5曲、セロニアス・モンク1曲、Yukariのオリジナル2曲、と彼女の特徴が過不足なくうまく反映されたものでした。即興でやはり生き生きとしてくるのは勿論かも知れませんが、さらに震災後の日本を見て思ったこと、そしてこれからそれまでよりももっと良くなっていくこの国を思って書いたというオリジナルは客席が一種独特のうっとり感に包まれる優しげで綺麗な曲でした。
ビバップ、ハードバップは彼女の現在のメインではないのだろうし、今まで力を入れてきた分野ではなかったかも知れませんが、それでもやはり学生時代の音よりは遥かに向上していて、なかなか気の利いたメロディを編み出したりもしていました。
今の東京のジャズ・シーンではフリーや即興をやらせてくれるハコそのものがあんまりないわけですが(そんなわけでYukariの音楽に理解あるママさんがやっているこの稲毛の店でやってたりもするのでしょうが)、この店のこのセットは、フリー、即興、オリジナル、それにセロニアス・モンクのような彼女の好きなものを前面に出してやることができて、やはりそういったところで彼女の生き生きとした演奏を見ることができました。
帰りに都内に戻る電車で色々また話しながら、私は素直に、
「いやー、音楽とか技術とかタイムとか理論とかいろいろあるけど、やっぱり自分自身を表現する、ってことが一番大切なんだ、と思いましたYO!」
とYukari嬢に賛辞。しかしYukari嬢もそういったところは大切にしているみたいで、意見が合いました。
極端な話、音楽、ってものをやらないといけないのではなくて、音楽を通じて自分自身を表現できるのが仮に言うところのミュージシャンなんだろうな、と思いました。いや、そうであって欲しいな。
そこんとこ行くと、先のGenzoも、昨夜超絶かつ完璧なピアノを弾いたシュンスケさんも、ジャム・セッション嫌い。シュンスケさんの言葉を借りるのなら、ジャムセッションって「ソロとって誰が凄いか、一番凄いのか、みたいなところがある。」「そういうことより自分の好きなことをやってる方がいい。」
私も究極的にはそうだな。
好きなことをやって、うまく音楽を通して自分を投影できれば、あるいは表現できれば。
とは言っても立ち位置の中途半端な私、ビバップ、ハードバップのピアノのレッスンを受けてもいます。先月、モトオカ師匠てのレッスンのあと、モトオカ師匠がホームページに言葉をアップしていました。
・・・・・・いい音、とは、何なのか、
たぶんそれは、その場を生ききる、その時を生ききる、ということだと思います。
チャーリー・パーカーはたぶん遠い目をして呟いたんだと思います。
“now's the time”
と。
私が先週Genzoとのセッションで最初の曲に選んだのもこのパーカーのブルース“now's the time”、そして奇しくも昨晩のYukariのセットで最後に演奏されたのも“now's the time”。
人は行き交い、あっちに行き、こっちに行き、あれをやり、これをやり、ああ考え、こう考え、まったくバラバラのようで、時には一緒で、人生の不思議、世界の物語、私たちはなぜかどこかでこうやって繋がっている。
こわんしだんす・COINCIDENCE・偶然・同時発生、それはもはや必然なのか。
世界の謎であり神秘。

こうして摩訶不思議な8月前半が終わろうとしていますが、今月末には、私からもBIGなニュースをお届けできる予定です。
皆さん、乞うご期待です!!!
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Yukari嬢と。
私も練習ばっかりじゃなく、人間的にも成長して、多くを学んで、感じていけるような人になりたいと思います。
そしてそれをうまく音楽を通して自然に素直に自分を表現できるようになれれば、それこそが私のゴールなのだと思います。
頑張りまーす!!!
by kento_ogiwara | 2011-08-12 14:51 | BLOG;音楽について | Comments(0)