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ジャズピアニスト荻原健登のブログ

障害者福祉サービス支給の実態; 断片

だいぶ前になってしまったが、職場の研修で現在の障害者福祉サービスの支給の実態について少し学ぶことができたのでそのメモをば。

えーと、・・・、どうもこういう制度的なことについては冗舌になれなくなってきてるな。オギワラくんが制度的なことについてあまり執着しない態度で仕事をしていこう、と思って働いていることもあるし。
まあ徒労感が付いてまわるし。前に社会福祉士の実習できた人と話していて、障害者自立支援法について民主党に政権が変わってこの法律がなくなる、というタイミングで、実習生曰く、“勉強し終わる前に法律が変わる。”とのたまっていましたが、まったくもってそんなことばかりで、どうにもやってられんわけですよ。
まあ、ちらっと聞いた話ではこの法律の最大の問題である応益負担(=1割の利用者の自己定率負担のことね)は廃止される、ということは今年の4月位に合意に達したらしい。しかしその後話が遅々として進まず現在も定率負担廃止を求める運動も行われているらしい。
テレビをつければまた政治のドタバタした感じをメディアがドタバタした感じで伝えていて、私としては付き合う気になれないのですが、まあ、よくわかりません。私としては政権交代の夏があってその後まもなく政府による福祉従事者に対する手当の給付が始まり、貰う給料に毎月1万円位の手当がつくようになり天井にアタマを打ち付けたくなるほど喜びました。今もその手当の給付は続いています。福祉従事者の低待遇は長年の課題でしたが、私はそれまででお上に対して最初に怒りを、次に無力感を、そして最後には無関心を向けるようになってもいましたが、初めて自分の懐にお上が直に関わったという意味でもあの手当は画期的でした。はい、ぶっちゃけ私にとっては1万円はもの凄く大きな額なので政府にはこの手当の給付はやめないでもらいたいです。

とまあ、場末な床屋談義にまたなってしまいました。こういうことを書いてるとホント、なんか微妙に疲れます。よって本題に戻ります。

簡単に障害者サービスの支給の受け方を最初に書いておくと、まず障害者や障害者を持った親御さんなどは役所に行きます。2006年の障害者自立支援法から、当然管轄は市区町村です。そこでまあサービス利用の申請をして、障害の程度を計る認定を受けて、受けることの出来るサービスの範囲が決まって、その範囲でサービス利用の開始、となるわけですな、おそらく。まあここら辺の手続きなど詳細、及び実態、それに対する評価などはインターネット上でごまんと出ていると思うので知りたい方は調べてみてください。

でね、実際のところその後知的障害者などの親御さん(以下、親御さん)はどうしてるのか、という話です。
それ、結構気になってたんです。社会福祉士の勉強をした時、障害者ケアマネジメント、という言葉を概念としては学んだけれど、どうも障害者福祉の世界に足を踏み入れて早3年近く、未だにそのような実態を身近に感じることがない。それで職場の研修の時に、思い切ってこの素朴な疑問を訊いてみたわけです。市区町村にケースワーカーがいることはわかった、一方で親御さんが直接ケアホームや事業所に移動支援、行動援護、ショートステイなど掛け合って利用にこぎつけていることもわかった、で、一体全体介護保険におけるケアマネージャー的な人はいるのか?と。
答えは、いない。
全て親御さんが自力でサービス利用までの契約や、利用の仕方のアレンジ、折衝全てやっているのが実態だそうだ。もちろん役所に行けばパンフレットとかくらいはもらえるだろうし、あとは人づて、親御さんたちどうしによる情報交換、口コミといったものを頼りに、月初めに親御さん自ら利用を求めるファクスを山のようにあらゆる事業所に送ったり、役所に行ってはうまくごねてサービス支給をとりつけたり、涙ぐましい苦労があるらしい。どんな地域資源としての福祉サービス事業所があるのか、どんな制度上の使えるメニューがあるのか、及びどこを、何を使えるのか、そういったこと全て親御さんが自らの力で調べて、サービス利用の契約までこぎつけているようだ。おそるべし当事者パワー、と言えるべきか。。。まあそう言うのは簡単だけれど、親御さんたちとてクライアント本人たちと同様親しくないわけではない仲、社会福祉士の常識からいってもクライアントは利用者とその家族、大変そうで心配になってしまうような話だが。

さて役所のケースワーカーは特に当てにならないようだ。この研修で講師をやって下さった相談支援事業者も、この4月は大変だったそうだ。というのも役所の異動でそれまで福祉となんの関係もない仕事をやってきた人がケースワーカーになり、しかもその利用者に関する情報の引継ぎもなされておらず、本当に苦労したそうだ。我々福祉従事者は利用者一人一人について知り得ることが仕事上の財産になるし、逆にその利用者について何も知らないと仕事にもならないのだが。まあ役所をめぐるよくあるような話の一旦がここでも。私見では役所のケースワーカーにもっと勉強しろ、仕事覚えろ、自分の市区町村の持っているサービスのメニューくらいは知ってから仕事にあたれ、やる気があればそれプラス事業所等の社会資源もさらっておいてね、ぐらいは言いたいが、現実的な話、そうやって仕事覚えて一人一人のケースについて学んでもどうせ覚えたころまた異動だろうし、そして何より今上に挙げたようなことは当事者が全て自力でやってできてしまっていることでもあるので、ぶっちゃけケースワーカーは要らないと思います。役所には一応サービス支給の一連に関する経理上の事務をやる人は必要でしょうが、一人一人のケース(クライアント)にケースワーカーをつける必要は特にないんじゃないかな、と思います。
まあ公務員を弁明するならば、10年ほど前まで障害者福祉の世界ではそれまで障害者のニーズに対しては公が一方的な「措置」としてサービスが支給されていました。サービス事業者を選択するのはあくまで公であり、当事者たちはサービスを公の意向のままに受ける一方だったのです。それがサービス利用の原理が利用者と事業者の対等な「契約」に移行するにあたり、利用者側がサービス事業者を選択するようになりました。事業者も社会福祉法人やNPO法人といった民間のものが増えてきた流れもあるし、公務員から見てもサービス支給のあり方とともに障害者福祉サービスを取り巻く風景にもだいぶ変化が多かったことでしょう。そんなこんなで混乱してたんですかねえ。よくわかりませんが。まあこの10年が福祉の世界での大混乱の時代であることは事実ではあるようです。

まあそんなことより深刻に思われたのはマンパワー不足です。
私はとっても幸運なことに福祉の仕事をして食っていっていくことができていますが、この業界での移動支援や行動援護などの仕事をするにも、まとまった時間で、定期的に収入を得ることが難しい無味乾燥な現実があります。単発のガイドヘルパーの働き方だと、収入も不安定な上、多くの色々な利用者をその場その場でみるため各利用者についてのケース・スタディも積み重ねにくいし、情報が不十分なままリスキーな状況で働かなければいけないといった難しさもある。こういった移動支援、行動支援、あるいはショートステイといったサービスはニーズは確かな上稼働率も決して低くはないのに、その性質上不安定で採算も悪く、従事者の確保も難しく、おまけにそれらの理由で利用者のニーズに必ずしも応えられない、という悲しいものがある。
そういうところに目をつけてとにかく、こぼれおちる人たちを見る、尊敬すべき同窓生がいましたが、当然365日中、休みは2,3日です。尊敬しますが、なかなかできることじゃありませんし、そういった人々に頼りきったままでいいのか?となるとそれは一つの見逃せない課題のようにも思えます。これは昔からこの世界にある問題なのかもしれません。一体どれだけこういった人々の意志にのみギリギリの部分を頼っていくのか。

今は保育所でも規制緩和の流れの一環ともとれる動きで、保育士を置かなければいけないのには変わらないのだけれど、たとえば1日を3つの時間にわけてそのシフトの中で一箇所に保育士が入っていれば良い、という新しい最低基準が導入されたとか。国の意図は簡単です。保育サービスをできるだけ低コストなパートで補っていければいい、というものです。これと全く同じ動きを私も高齢者のところで働いていた時に経験しています。介護福祉士が再来年から働きながらとる事ができなくなることや、いったいこの国は福祉従事者を育てるつもりがないのではないのか、と思ってしまいます。

まあ、何がなんだかわからない文章になってしまいましたが、こういう話は苦手です。
まあ、淡々とやっていきます。というか楽しく働けているので、そのことはとても重要にも思えるので、引き続き楽しく働いていきたいと思います。色々、顔向けできないところもままありますが、私がこうして楽しく働いて、楽しく生活していることが翻っては私の周りの人々にとってもいいことなのだと思っています。
だから多少のほほんと思われても楽しくやっていけてることを大切にして頑張って行きたいと思います。
by kento_ogiwara | 2010-12-05 18:20 | Comments(0)