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ジャズピアニスト荻原健登のブログ

ジャズ

昨日、というか今日の未明、元師匠のモトオカさんにニュー・アルバムを渡しがてら久々に阿佐ヶ谷マンハッタンにセッションに行ってきた。
前に既にCDRの段階で渡してあったニュー・アルバムだけど、ちゃんとモトオカさんはもう聴いていてくれていて、感想を訊きたいな、というのもあった。
んで今回のアルバムはあまりモトオカさんは気に入らなかったみたいで、感想よりも、
「で最近はジャズ・シーンには復帰したの?」
とのお言葉。あのアルバムはジャズじゃなかったのかもな、と思う。
前作の“Road Music”は大層気に入ってくれて、車で聴きながら涙したことをわざわざメールで教えてくれた。前作も今回の“kento ogiwara and friends”も必ずしも音楽形態はジャズではないけれど、生粋のジャズマン(もちろんスピリットの点で)のモトオカさんには今回のアルバムにはジャズのスピリットが感じられなかったのかな、とか考えたり考えなかったり。
ま、でも“kento ogiwara and friends”はオギワラくん自身が聴いて不覚にも涙してしまうことに成功しているので(←バカ)、“Road Music”はモトオカさんのお墨付き、“kento ogiwara and friends”はオギワラくん本人のお墨付き、ってことでいいとしましょう。

何はともあれ、再びモトオカさんのレッスンを受けたい、と申し出ると快諾してくれた。
何年ぶりかの師弟関係復活だ。
やることずばりソロ・ピアノ。
なぜそうなのかは明確な理由があるけれどここでは省略。
何か曲を決めて、それをベースもドラムもいないソロでどう弾いていくか、それを自分なりに研究して、そしてモトオカさんのスーパーヴィジョンを受ける、という形になると思う。
自分でリズムを打ち出すこと、ベースラインを弾けるようになること、様々なクリシェのストックを蓄えること、メロディを和声的に弾くようなピアニスティックな要素を身に付けること、などなど、そういったことを学ぶことになると思う。それとは別に自分の持っている個性、資質、美意識、優しくあること、耽美性、パッション、センチメントなども大切にしながら失わずにやっていければ、と思う。

他にはモトオカさんと、モトオカさんが学生の頃私の出身大学のジャズ研に出入りしてたころいたOBでオギワラくんも知っている共通の知り合いがいて、その人の話で盛り上がったり。ズバリ、セートクさんのことなのですが、モトオカさん曰く、
「セートクさんは別格だった。」
とのこと。今では出身大学のジャズ研のOB会の時とかに一緒にバカっ話をしてるあのセートクさんがモトオカさんの兄貴分だっとは、不思議な縁。
今度セートクさんに会ったら
「あの頃あの大学にはうまいラッパがいたなあ、ってモトオカさんが言ってたのって、セートクさんのことでしたよ。」
と教えてあげよう。

出身大学のOBと言えばこの日は不思議な縁に満ちた夜で、久しぶりに大先輩であるハマムラさんにも数年振りに再会した。ビックリしたなあ。
いきなり“everything happens to me”で共演したのだが、譜面によってコード進行がまちまちなこの曲で、オギワラくんが譜面を用意したにも関わらず、それとは別の弾き方をしてしまった箇所があって、演奏後早速突っ込まれた。もちろん謝ったが、こういう厳格さは相変わらずだなあ、と思った。
後は共通の知り合い・友人の消息話に花が咲いた。さらにセートクさんのOB会における盟友であるクサノさんとハマムラさんが地元のセッションでよく顔を合わせている、と聞いてここでも不思議な縁。
ハマムラさんは楽器を「やめる」、ことについて沢山話していて、もちろんそれはハマムラさんがベースを止めたい、ということではないんだけれど、確かに、やるのか、やめるのか、ギリギリのところで生きていくのがジャズマンという面もあるから(少なくとも東京では)、この話は避けられなかった。と同時にこの人の昔からの音楽に対するストイックさ、他を寄せ付けない厳格さ、そこから発せられて私のいた頃のジャズ研を包んでいたあのすえた臭いを思い出した。
ホントにつらかったな、あの頃は。ジャズがあまりにも「ジャジー」になり過ぎて感じられてつらかった。
音楽をやる、ということは楽しいことよりも、辛く、時に悲しいことも多いタフなことだ。
クサノさんは
「入れ墨なのだ。」
と言い、
Mは
「呪い」
だと言い、
ミズノさんは
「逃げられない」
と言い、
でんちゃんは
「本気で音楽をやるかどうか、というのは、生きるか死ぬかの選択だ」
と言う。

オギワラくんは生得的に自分が、こういった「ジャズマン」ではないことを知っていた。と言うか生きていかなくちゃいけないからね。だからモトオカさんと別れ際に、
「まあ、また地道にやりますわ。人生長いし。」
と言ってやった。ジャズマンなんてゴメンだ。
ただ楽しくピアノを弾いて、+できればそれを聴いている人も楽しくなれればそれでいいな、と思う。
そのための3回目のモトオカさんへの弟子入り。
レッスンは楽しみたい。

今朝家に帰って、少し寝て、洗濯をして、カミサンの寝転がってるところに行って思わずひとこと、
「ジャズマンはオレには荷が重いわ。こうやって普通の生活があるだけで幸せと思わないとな。」
と。
こうしてオギワラくんの不可思議な週末は終わった。
皆さん、明日からはまた仕事、頑張りましょうね!!!
by kento_ogiwara | 2009-08-02 20:16 | BLOG;音楽について | Comments(0)